MENU

漫画家とれたてクラブ「怒りの細部を編み直したり、絆創膏の内側みたいに安全な空間で、傷を回復し、いつの間にかパーティーしてるような時間を作りたい」【HAKUCHI artist interviews】

2023年7月22日(土)開催予定の日韓アートイベント「HAKUCHI」。
イベント開催に向けて【HAKUCHI artist interviews】と題し、イベントアーティストメンバーに自分と作品との向き合い方、制作方法、そして韓国との関わりなどを深堀りインタビューをしてみました!
今回は、フェミニズムをキュートに軽やかに、時に劇薬を投じるように描く、漫画家兼写真家として、活動しているとれたてクラブさんのインタビューです。

✴︎✴︎✴︎

現在の職業や経歴はなんですか?

とれたてクラブ:ピルのオンライン診療サービスと、ブランドリサイクルショップでアルバイトをしながら、漫画制作をしています。
今は停止していますが、数ヶ月前まで写真作品も作っていました
漫画も写真も好きですが、作っていて疲れますし、自分のした表現が誰かを傷つけないか常に不安です。
また自分の描きたいものの市場規模や需要が予測できないので、生活費を依存するには心許なく、アルバイトで収入があることで、安心して作品を作れています。

主にどのような作品を中心に制作していますか?

とれたてクラブ:フェミニズムに関する漫画と、プロテスト写真を制作しています。

いつから作品づくりを始めましたか?きっかけやエピソードがあれば教えてください。

とれたてクラブ:漫画はページ数が少ないものは小さい頃から描いてましたが、がっつりフェミニズムの漫画を描いたのは『なかよしビッチ生活』が初めてです。
2021年の頭ごろ、前の職場をセクハラからのうつ病でやめました。
うつ病からの回復には色々な方法があると思いますが、私は怒りを形にすると治療に繋がるタイプでした。
うつ病になってからはしばらく働いていなかったので、休みながら写真を撮る活動を始め、『なかよしビッチ生活』も形にしていきいました。
私はデモや人との議論、運動団体への所属が得意な方ではないので、漫画製作は継続しやすい社会への働きかけです。

使用するツールや手順などについてお聞かせください。

とれたてクラブ:漫画はibispaintというアプリを使ってiPadで描いています。
先にほぼセリフを決めてからコマ割りや絵を入れます。
写真はTinderでマッチした方がカメラをくれて、そちらで撮ってます。
今は有償対応のみですが、自分の作品はなんとなくアイディアを思いついた後に、モデルさんを決め、打ち合わせした後に撮影をします。

今までの制作物の中で一番印象に残っている作品はありますか?

とれたてクラブ:漫画では『なかよしビッチ生活』が自分の中でも印象深い作品です。
ユミコとタマヨというシス女2人がお隣でなかよく暮らすお話で、ギャグ漫画です。
写真では一番最後に撮影した、排除アートに抗議する写真作品の思い出が大きいです。
それまでフェミニズムに関する作品が中心で、特権がある側の表現として適切だったかどうか、今でも不安です。
ミヤシタパークで撮影したのですが、暴力をアートでデコってる感じがグロテスクでした。

好きなアーティストや、インスピレーションを受けるものはありますか?作家名や、それらが自身の作品にどう影響しているか、教えていただきたいです。

とれたてクラブ:TWICEさん、ドラァグクィーンの나나 영롱킴さん、ドボイズのニューさん、p1harmonyのkeehoさんのファンです。
みなさんのようなディーバネス溢れる作品を作りたいです。
ビッチ生活は阿佐ヶ谷姉妹さんの暮らしぶりに影響を受けてます。
本を読むのがすごく遅いのでほぼ著作を読めてないですが、ハン・ガンさんも好きです。
漫画は西森博之さんと岡崎京子さんが自分にとっての手塚治虫さんのような感じです。
若い頃、おふたりの漫画は暗記したり描き写したりしていました。
絵柄ややり取りのテンポなど、たくさん影響を受けていると思います。
ビッチ生活の主人公のひとり「ユミコ」は、岡崎京子さんの『pink』という作品から名前を取っています。

HAKUCHIの参加メンバーとはどんな繋がりがありますか?

とれたてクラブ:monさんとインスタで繋がったご縁で参加しました!monさんきっかけで参加しましたが、まだあまりお話したことがないので仲良くなりたいです。
Instagramのフィードの色味、かっこよさ、テンポ、温度、すべてが大好きでファンです。
LUSH原宿店での運動も尊敬しています。
特に入管法改悪時は、monさんがお客様に対して入管法について説明したり、チラシを渡したり、ウィシュマさんの缶バッジをつけて接客したり、、、ひとつひとつにとても感動しました。
現状の社会運動の実践はホモソーシャルになりやすいことが多いので、monさんのような方が普通に生きてたり寝たりご飯食べたりしていることが、希望でもあります。

HAKUCHIのイベントが日韓交流も兼ねておりますが、あなたにとって韓国はどんな存在ですか?韓国との関わりや印象を教えてください。

とれたてクラブ:私がフェミニズムを知ったのは、kpopアイドルがきっかけでした。
その頃ちょうど勤務先でセクハラを受けている真っ只中で、自分の生きている世界とは全く違うジェンダー観が流れているkpopの世界に衝撃を受けました。
kpopアイドルのオタクはフェミニストが多く、Twitterで情報を追っている内に自分もフェミニストになっていました。
今は(韓国語が全然できないので、こんなこと言うの資格があるか不安ですが)申し訳ない、責任を果たしたい、という気持ちが強いです。
私の家庭はいわゆる右翼で、「アジアで白人のように振る舞う日本人」でした。
これは美術家のエミリーさんの作品に出てくる表現です。
フェミニズムに出会うまで、日本での在日朝鮮人に対する差別や、従軍「慰安婦」の記述のある教科書に極右団体が嫌がらせをして倒産してしまったこと、日本の植民地支配が今でも朝鮮でのマイノリティへの抑圧に大きく影響していることを知りませんでした。
自分は地方出身で女性でクィアなので、それだけでも祖父母や父からの抑圧の一番の被害者である気でいましたが、自分が動かないと命の危険がある人が大勢いると知りました。
また自分が元気をもらったkpopについても、問題となっている労働問題やルッキズムについて改善のためにできることが少なく、申し訳なく思っています。
作品を通して少しでも責任を果たしたいです。

作品を通じて伝えたいメッセージや感じてもらいたい印象はなんですか?また、HAKUCHIのテーマやコンセプトと一致する部分はありますか?

とれたてクラブ:社会運動を扱う作品は、目には目を、歯には歯を、ホモソにホモソをみたいなものが主流なので、そうじゃない印象を抱いていただけたら嬉しいです。
イベントタイトルの泊地の英語のharborの他動詞の「心に抱く(密かに思う)」「隠れ場所を提供する」「かくまう」などの意味があると主催の方が書いていて、今の自分が欲しかったコンセプトだなと思いました。
Twitterとかでマイノリティの権利のために声を上げると、すぐ発見されるというか、差別的なリプライがつきやすいと思います。
Twitterに慣れてる方は「Twitter歴長いからね」と言うのですが、私は一件でもとても傷つくし、一生許さないと思ってしまいます。
隠れながら、人と繋がったり、必要な距離を作ったり、怒りの細部を編み直したり、絆創膏の内側みたいに安全な空間で、傷を回復し、いつの間にかパーティーしてるような時間を作りたいです。

現在困っていることや最近の悩みはありますか?

とれたてクラブ:政治情勢がとても不安です。
戦争が始まってもおかしくないですし、ヘイトクライムのニュースを見るたびに、自分が狙われなかったのはたまたまだったんだなと、具合が悪くなります。

これからどういう活動をしていきたいですか?将来の展望ややっていきたいこと、やってみたいことを教えてください。

とれたてクラブ:とりあえず今描いてるものを頓挫せず描き終わらせることが目標です。
それが終わったら、語学の勉強をする時間をちゃんと作りたいです。
あと健康のための運動もしたいです。
後回しにしてしまっているので。。

最後に、読者や来場者さん、同じくHAKUCHIに参加するクリエイターさんに向けて何かメッセージがあればお願いします。

とれたてクラブ:素敵なイベントに混ぜていただきありがとうございます。
みなさん作品作りに充実した青春を注いでいるように見えて(もちろんご本人にしかわからない大変さや葛藤などあると思いますが)輝いて見えます…。
心から応援しています。

あわせて読みたい
第一回アートと日韓交流イベント「HAKUCHI」を開催します 2023年7月22日(土)に恵比寿CityCampさんにて、約20名の日韓アーティストの展示やzineやグッズ販売と日韓交流が楽しめる「HAKUCHI」を開催いたします。 会場ではプロジ...
「HAKUCHI」の詳しいイベント概要はこちら

とれたてクラブ

漫画家などをしています。スーパーサイヤフェミニストです。主な作品は『なかよしビッチ生活』です。